いまだ降る光のレイン/ホロウ・シカエルボク
しまった
もう半分も片足棺桶の中だ
「そういうものだ」という事柄は
ただひとつの認識という程度のもので
すべてをその枠に収める力など無い
定義に縛られる人間は
殺風景な部屋に住むことをストイックと呼ぶ
ベイビー
すべての事柄が終了した
幕間の暗転のようなこの時間に
野生の馬は目を見開き
鼻息を荒くして
半月に嘶いている
本能的な力をありありと感じるとき
大抵の人間は不幸な気分になるしかない
ベイビー
俺はいままさにそんな気分なのさ
数時間後に眩しい光の中で
まやかしのような希望を感じながら目を開くとき
こんな夜のことはすべて安易な忘却の中に閉じ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)