いまだ降る光のレイン/ホロウ・シカエルボク
三十八度のシャワーが容赦なく降り注ぐ浴室で
肉体という幻想を
肉体という幻想を洗い流す
習慣的な筋肉の収縮は
それでもまだ掴むべき何かを探している
知っているものはもう知る必要は無い…そりゃ、生きてるあいだに考えだって変わるけれど
それは知っているものが変化しただけのことだ
浴室の換気はままならず
黒く変色した天井のボードは支えをなくして落ちかかっている
天井裏を覗くと
湿気て朽ちた枠木が噛み千切られたような傷跡を晒している
馴れるとはつまりそういうことだ
便所には過去がこびりついている
流すたびに感じる違和感はきっとそいつのせいだ
消化されない出来
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