いまだ降る光のレイン/ホロウ・シカエルボク
 



夕月が
悲鳴をあげているような赤
骨の色に似た電柱の上で
闇のようなカラスが羽を休める
よどんだ、生温い空気の
送り主を忘れた鎮魂歌のような始まり


血液は半睡の眼と同じ温度で
ぼろ雑巾の肉体を
つなぎとめるべく駆け巡る
逡巡、という言葉が時折よぎるけれど
命はイズムとはべつのところで生きている
手首を握り締めて生を思い出した


悪い知らせなら明日のポストの中に
ひとつかふたつくらいは届くだろう
良い知らせならこちらがそれを忘れるまで待って
騙し討ちのように着信するだろう
不用意でなければ示唆も無い
馴れてしまったなら首を掻っ切れば良い

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