蟹妻/チアーヌ
けど、ま、似たようなもんじゃないですか?」
「でも、蟹は海にいるんだから、たぶん魚とか食べるんだよな。煮干か、よし」
帰り道、自宅近くのスーパーで、煮干を一袋買うと、僕は家に帰った。
すぐに脱衣所に置いてある水槽に向かう。
蟹の祐子はおとなしくそこにいた。
「祐子、えさだぞ。煮干だぞ。食べるだろ」
僕は水槽の中に煮干を入れると、少しほっとしてリビングのソファに腰を下ろし、冷蔵庫からビールを取り出し飲み始めた。
次の日の朝、後藤と顔を合わせると、後藤が手を合わせて近寄ってきた。
「おはようございます聡史さん。実は今日ちょっと、付き合って欲しいんですけど・・・。合コンの人数足り
[次のページ]
戻る 編 削 Point(11)