悲鳴/島中 充
示する場所であった。深夜、次々にオートバイや車高を落とした車でレースがはじまった。
その日、竜男の競争相手はカペラロータリーだった。街道レーサーの四輪の走り屋だ。ロータリーエンジンの回転をあげれば、またたくまにタコメーターは八千を差し、時速二百を超える車だ。側道からスピード違反を追いかける白バイのように、竜男は側道からスタートしいつものようにカペラを追った。恋人も二五〇ccでその後に追随した。竜男はイエローのカペラの車体のおしりに付き、S字カーブの外側車線に入って行った。サードからセカンドにシフトダウンし、スロットルを一杯まで吹かし、加速し、限界の時速八十キロまで上げた。体を左に大きく傾け
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