悲鳴/島中 充
は真夜中、暴走族のたむろする浜寺公園に来ていた。彼は勤務する会社の工場長に頼まれ、同僚の竜男に危険なことをしないようにと言いに来ていた。馬鹿なことはするなと工場長が言っていると伝えに来ていた。水銀灯に照らされる臨海線のS字カーブは暴走族の舞台である。竜男は街頭レーサーを自認し、街中で競争する暴走族だった。街頭レーサーとは一般道で信号から信号までの加速とスピード、追い越しとカーブテクニックを競う奴らだ。公園に着くと竜男は黒い革ジャンの長い髪の女を連れていた。背中を信也に向け二人はS字カーブのほうのレースをじっと見ていた。信也は女に後ろから近寄り背中を軽く叩いた。女はびっくりして、赤いルージュの口から
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)