まぼろしの結晶/ホロウ・シカエルボク
当に恐ろしいものは
わざわざおぞましい顔をしてやってきたりなんかしない
感じるのはおまえだ
感じるのはいつだっておまえなのさ
口腔に広がる
粘ついた唾液のわけを
泥のような眠りを断ち切る
漠然とした慢性的な予感のことを
真夜中に踊る漆黒の妖精たち
あらゆる理由が炙られてできた鱗粉をばら撒く
同じ希望と
同じいらだちが繰り返される
リピート設定されて放置された
プレーヤーのなかのディスクのような気分になる
ハロー、昨日の夜
だれもおまえのことなんか欲しがってはいない
そのドアから出て行ってくれ
新しい眠りが入ってこれるように
邪魔しないでくれ
貪
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