まぼろしの結晶/ホロウ・シカエルボク
 






肩口に齧りついた過去
背中に張り付いた
名前の無い鎮魂歌の譜面
真夜中過ぎ、脳天をカチ割るような
レイトショーに踊らされて
死んだ叫び声が内臓を蝕んでいく


時は
少ない水に溶ける絵具のようだ
どろりとしていて
まるで
着色という運命から逃れようとしているように
巨大なパレットの上で不定形に固執している
その色を舌の上で味わうと
まるで
運命のすべてを先に教えられたような気分になることだろう


身体中の風穴から
観念的な血液が吹き出す
心臓はいつでもオーバーヒートの夢を見ていて
頻繁に握り潰されるような伸縮を繰り返す
本当に
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