公務員に成れなかったコックローチ /島中 充
グを吸うようになっていった。
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二か月が過ぎた。分厚い給与袋を持って来て、そして、社長が若者に言った。
「近頃、夜中にゴキブリを撒いているやからがいるようだ。そんな都合の悪い噂が住宅地に立ち始めている。我々のことだ。もうだめだな。見つかる前に止めることにしよう。捕まる前に止めよう。十分に金は稼げるほどまき散らしたつもりだ。後は証拠を残さないように始末しなければならない。この家の地下に大量の殺虫剤をまき、あいつらを皆殺しにしてくれ。」
「あいつら?あいつらを殺すんですか?そんな可哀そうなことは出来ません。絶対に出来ません。かれらは私の大切な仲間です」と若者は答えた。
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