公務員に成れなかったコックローチ /島中 充
 
会社にであった。くまもんのぬいぐるみが流行っていた、同じようにぬいぐるみでコックローチマンに成って宣伝することだった。茶色の羽をつけ茶色のタイツをはき、茶色の海水パンツを身に着け、前のふくらみの上に白色で「害」おしりに大きく「虫」と書かれていた。コンテナほどの大きさの木の格子の箱に入り、子供たちから殺虫剤と書かれている水鉄砲で撃たれるのだ。害と書かれた盛り上がった白い文字を子供たちはことさらねらって撃った。見ている大人たちが喜んでいた。「ヤラレター」と大声をだし、もがき苦しんで死ぬのが仕事であった。しかしこれは昼間の仕事で、本当の仕事はこれではなかった。
「給料は五倍やる、しかし誰にも言うな、内
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