公務員に成れなかったコックローチ /島中 充
いる友達に『あそぼー』と呼びかけながら、土間のテーブルの上に置かれているそれが目に入った。貧しい家庭でお腹が空いていた。甘いものが欲しかった。皿に乗っているのだから食べ物に違いない、お菓子に違いないと思って、急いで掴んで食べた。味はなかった。丁度その時友達が奥から出てきた。慌てて、その場を一目散に逃げた。しかし友達はしっかりと見届けたと見えて、次の日、学校でコックローチを食べていたと言いふらされた。その日からみんなからコックローチとあだ名で呼ばれるようになった。」
社長はこの話がおおいに気に入ったらしかった。勤め先がすぐに決まった。コックローチと言うこの会社ではなく社長のやっている広告宣伝の会社
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