『戦争詩歌集事典』高崎 隆治より、戦争詩を考える。/こひもともひこ
 



つづいて、高崎隆治の書いた評文からいくつかの文章を紹介する。




{引用=・高崎隆治の評文より

「詩の神聖を汚す」というのは被害妄想だが、率直に言えば、絶叫調の政治的なプロパガンダを行分けして形だけ詩のような体裁をとったもので、過激な演説としかいいようはなさそうである。人の思想がそれざれ異なっているのはさしつかえないが、己れ一人を尊しとし、日本以外の世界を野蛮呼ばわりし、非道・背徳・侵略・低劣・野心・強欲などと罵倒するだけの作、言い換えれば独断と偏見と憎悪の集積から「詩」は生まれようはずもない。

「殉死」という言い方はむろん当時のジャーナリズムがつけたものだ
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