『戦争詩歌集事典』高崎 隆治より、戦争詩を考える。/こひもともひこ
/食ふべき紅葉ありぬと/兵ら語りつつ食ふ。/色濃きは更に甘しと/兵ら相ゆづり食ふ。
兵ら捨つべき時の至るまでもみぢ葉を食ひ命やしなふ(反歌)
◇メモ:豈【あに】
1 あとに推量を表す語を伴って、反語表現を作る。どうして…か。
2 あとに打消しの語を伴って、強い否定の気持ちを表す。決して…ない。
・平原 平田内蔵吉
敵は残滅したが飯がなかつた
残つた乾パンも食べてしまつた
泥水をタオルで漉してはすすり牧草をかむ
塹壕の穴は血であふれて
かたはらに外蒙兵の屍体があつた
(誰がためにささげし命ぞ)
懐から母の写真がのぞいてゐる }
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