『戦争詩歌集事典』高崎 隆治より、戦争詩を考える。/こひもともひこ
 
典』高崎隆治だ。これは戦時中(戦前・戦後含む)に出版された詩集への批評と、収録作品の一部抜粋のみのものなので、詩の全貌が分かるわけではないが、ここに収録されていた作品から、著作権切れということが分かった詩人の作品を幾つか紹介する。




{引用=・兵ら紅葉食ふ 佐藤春夫

 山の上の陸戦隊の/兵らもみぢ食ふ/ふるさとの秋山 慕ふ/風雅とはゆめな思ひそ。/前線の糧食も絶えて/芋畑の芋も尽きぬる/芋の葉の食ふべくんば/豈(あに)これを食はざらめやと/兵らもみぢ葉を食ふ/敵前の峡に求め/枝を折り葉をむしり食ふ。/もろともに分かちあひつつ/秋ふかみゆく江辺の/山の露営は寒くとも/食
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