描線/末下りょう
白 白い白 白い日
白い目と白い手を
白い夢の白い瞼を白に開き白い壁の白さに列なる白い花瓶に白い花の
白い髪に白く書きつけた白のかわりの白い手紙
白い名は白とは呼ばれずに
白い意識が白のような顔をして白い素足を白と見おろす
白に消毒する
白い匂いに白く沈む
白くもない白い記憶
すべてはこともなげに 一切の白さを明かさない
白い体を白になるまで洗い白を流しては白い息が白さにこぼれる
白む死に白に縫合された
白い感情の白い繭の
白い柔らかさに
白く依存したまま
白を死ぬことから
白にとり残された白いぼくのまえに
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