晩夏、おまえの血を/ホロウ・シカエルボク
 
が輝くころに
だから
こんな夜にはきっと
今日の死体は成仏出来ず燻り続けるだろう


いつだったろうか、今日を徹底的に殺すことを詩にしようと思ったのは
それはきっと拳やナイフの先から落ちる血液の音が
指先に感じる骨の折れる音が
窓の外の雨音とシンクロしたせいだ
洗面に行ってきれいに手を洗おう
身体を軋ませながら起き上がり
水をほとばしらせながら洗い流す
乾いてカサついた血液はなかなか落ちない
力任せに落ちるまで洗おうとすると荒れた皮が剥がれる


水流が血液を剥ぎ落すと
生命の違和感がそのあとにまといつく
それは水では洗い落とせない
決して水では洗い落とせな
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