晩夏、おまえの血を/ホロウ・シカエルボク
 
て、俺の下敷きになっている
こいつは腐敗するだろうか、と俺は考える
だったらなるべく早いうちに始末しなければならないのだが
だけどこいつの肉体は便宜的なものだし
俺の知っているやり方が適当かどうかなんて皆目見当もつかない
こういったやつらは総じて殺され慣れているんじゃないかってそんな奇妙な確信もあるし


今日がこと切れてしまったのでベッドの上は深い森のように静かだ
死の騒がしさが石のように転がっているだけであとはなにも無い
今日の死体を蹴り落して
俺はベッドに横になる
今日の死体は落下の衝撃で血の霧となって出口を探している
夜の出口は月の出るころに
ひときわ青い星が輝
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