九月某日/春日線香
蛇の体内を通って歩く
そう思っている間に駅からずいぶん離れた
知人が結婚するにあたり
引っ越しの手伝いに行くことになった
とはいえ概ねの作業は業者に頼んだとのことで
あとは新居で荷解きするばかり
挨拶を兼ねての訪問と言ったほうが正しい
通されたダイニングでお祝いを述べて
持参してきた袋を渡す
中には新聞紙に包まれた
夫婦茶碗がワンセット
(一週間前に物産展で手に入れたもの
余談だが物産展の会場になかなか辿り着けず
日をあらためて最終日に間に合った)
おかめとひょっとこがそれぞれの茶碗に描かれている
おかめは笑っている
ひょっとこは例のおどけ顔
都合
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