北原白秋顕彰短歌大会/そらの珊瑚
 
しい。
もちろん選者の方が選ぶ賞もある。

今回391首の応募があって、それを丹念に読みほどくのは面白く、勉強になった。
そのなかで私がいいと思った作品をあげてみたい。(自作ではありません)

 【仰向けに道に落ちいる蝉よ蝉もう充分に楽しんだかい】

短歌の素養がない私にもすっと理解できるような平易な言葉で編まれていて、かつ味わい深い作品であると思う。

道のあちこちに死んだ蝉、もしくは死んでゆくであろう蝉が転がっている風景に、誰しも心当たりがあるのではないか。
この作品の蝉はおそらくその脚がじわじわとまだ動いているであろう蝉だろうと想像する。物体になる前の生き物へ、作者は何
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