『秋の夜長』/hahen
 
煙草を吸っていると、指先が行方不明になる。あんまりにもやさしい夜だから、ぼくたちはこぞって死のうとする。その先はもっとやさしいよ――冷たい石の壁に腹ばいになって、頭と地面とがふれあうそのときを、微かでも見逃すことのないようじっと凍りついて目を光らせているこどもたち。彼らに悪しき影響を与えないように、さあ、与えないようにして、真っ直ぐにできるだけ速く燃え尽きていかなければならない。この夜に暑くて寝苦しいなどということがないように。なにかに行く手を遮られてぶつかったみたいに、空に流れ星が静止した。降り注ごうとして、この夜は天高く上がっていく。

連綿と続いている、地平ではないどこかが地平となる場所
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