スライドする時は気だるいタップを踏む/ホロウ・シカエルボク
 









あるはずの脈動は感じられなかった、おそらくはすべての感覚が薄いプレートのようなもので遮断されていて、ほんのわずかな隙間でしか機能していないのだ、コールド・スリープの最中に間違って目覚めてしまったかのように朦朧としている、そんな瞬間には不確かのもの以外にリアルなものなんて無い、見てごらん、壁にかけた時計が指し示す時刻がまったく納得がいかない有様だ、音楽は止まっていて、近くのガソリンスタンドで流れている流行歌が聞こえてきていた、ゴムボールをずっと壁に打ちつけているみたいなリズム・セクションだった、そんなものは―年寄りの決まり文句を口にしようとして黙り込む、こんな状態
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