『忘れる』/hahen
六十キロに満たない
体重を受け止めて、
滑らかに沈む砂地が
どこまでも潤ったまま
保存されている、
海だった土地に、
吹きつける風が
旱魃の
硬く、脆い
呆れ返ったような表情の
青空を連れてきた。
遠い他銀河からの航行を経て隕石が落ちてくるとすれば、
そしてその時を迎えてもなお生きているとすれば、
それはこんな場所だ。重く鈍い衝突音と竜巻のように巻き上がる砂煙。
とてつもない高熱と大質量を、ぼくたちは笑い話にするだろう。
そういえば、空には
表情があると誰かが言った
誰かが、どうせ、言っているだろうと思った。
でもそれは、
生きとし生けるもの、全て
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