きみのそばで凍る純粋の季節/ホロウ・シカエルボク
と
古い小説みたいな気持ちになったものだった
風が強かったせいなのか
いつもよりたくさんの星が見えて
そんなことはきっと
何度もあるようなことじゃないって
そんな印象の真ん中に
いまここに居るきみへの思いを
言葉にすることなくはめ込んだ
ほんとうにぼくたちは
純粋過ぎて無力だった
こんな局面に至っても
鍵の壊れた個室に
右往左往するのが関の山だった
どうしてあんなに
すべてが終わることをあっさりと受け入れられたのか
そうさせないための手段は
きっと無限にあったはずだった
ぼくたちはきっと
少し不純になって
少し勇敢になればよかった
ほんのわずかの間の戦士で
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