いつかロマンス風の/ただのみきや
詩に過ぎなかった
ロマンス風に仕立てられた
大義も理想も死ななければ
絶望だけにならなくては
見渡す限りの死の土地で
わたしはひとつのランドマークとなる
野ざらしに葬られることもなく
かつての甘い願望が乾ききり風となるころ
訪れる 死に往く者の唇からそっと流れる
清水のようなメロディーに己が戸惑うように
黒焦げの山林からくっきりと緑が芽吹くように
すべてを無くして笑わなくなった男がふと
通りすがりのベビーカーに目を落とし微笑んでいる
自分に気が付いた時のように
願う余地などない
希れの兆しとは
黎明の空を雲を七色に暈しながら大地を彫り
変わら
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