呪文/kaz.
 
発話、しなさい、それが君の運命さ

三日月と新月の間の裂け目から満ち欠けは始まる、
満ち欠けの始まった卵黄が木にぶら下がるように稲妻は止まる、
卵黄から垂れ下がった卵白が枝に引っかかるように灰皿は干される、
時は過ぎ去った、そして半月になる

ぼくらは書かれているものの先を読むことができる、
何に導かれるでない、垣に導かれるまま隙間から覗いてしまう、
一人の少年が目撃した女の子の裸が、
少年の読んだどんな文脈にもない明るさで翻り、
ある男の陰茎と重なり合うときのように、
ぼくらは先を読む、
その子は将来、少年の妻となるべき女だったのだ、
さらに先を読む、
少年は、今月
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