そこから世界を照らす光は見えるかい?(アイ・シャル・ビー・リリースト)/ホロウ・シカエルボク
 
の友達も
かけがえのない恋人も
たったひとりきりの指先をあたためることは出来はしない
だからこそ出会い、懸命に幸福を貪る
声に出さなくてもいいことを
わざわざ、殊更に叫んだりしながら
やがてかすれる声に
信じたい真実以外の丸まった背中を見る


どうしていた、もうそれが幾つのことだったのかも上手く思い出せない
とても日当たりのいい賃貸住宅の玄関口で
そのころ友達だった誰かとひと言も話さずに差し込む光の中に浮かぶ塵を見ていた
あれはまるでザ・バンドのうたみたいだった
それは水を思い出そうとしている魚の
残留思念みたいな行く当てない漂流だった
あのときの幼い友達、男だっ
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