そこから世界を照らす光は見えるかい?(アイ・シャル・ビー・リリースト)/ホロウ・シカエルボク
と
届かぬための言葉を呟く人間になったら
夜を迎える前に首を掻き切って見せるさ
秋の始まりを告げる風が安普請の家を揺らし
ニュースタイムは台風の被害の模様でもちきり
はした仕事に疲れ果てて音楽を聴いている
生きる価値か、生きる理由か、それとも
すべて黒く塗り潰されてしまえば黙って寝床に潜り込めるのか
涸れ果てた海の底で貝殻を拾い集める
尖った殻で指先を傷める
一滴もないくせに香りだけは満ちていて
それはなぜかとてつもなく薄ら寒い出来事に思えた
海の化石の胎内には昼も夜もなく
太陽とも月とも思いがたい何かが青白い光を放っていた
どんなにたくさんの友
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