絶景/吉岡ペペロ
 
は家のまわりに種をまいた。まくのは弟であたしは弟がまくのを見ているだけだった。
アパートのまわりは森みたいになっていて、その茂みに日の射している一角があった。あたしたちはそこに種をまいた。
種が芽吹いたことはいちどしかなかった。でも成長しなかったからなんの種かはわからなかった。
種をまくときあたしにはいつも罪悪感があった。なぜ?あたしにもわからない。それは後付けだったのかも知れない。種が芽吹かないことをあたしはなにものかからの罰だと感じていた。
弟に種をまかせていた、あたしはよこでそれを見ていた、森みたいに鬱蒼とした緑の一角で、だれも見ていないところで、でもあたしに罰をあたえるものが確かに
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