絶景/吉岡ペペロ
の鉢植えを持って学校から帰ってきた。弟はすぐ遊びに出かけた。あたしは食卓にすわって黙っていた。出て行くまえやっと顔を向けてくれた母は首を傾げてじっとあたしを見つめた。母は破裂したのだと思う。母はあたしを助ける、救うべきだった。弱者のふりなんかするな、そう叫んでやりたかった。
あたしと父のしていたことを見たとき母は失禁した。灰色のスカートに黒い影模様が貼りついていた。アパートの周りに巣食う木々の緑が部屋に入り込んできたような影だった。
弟はよく給食でフルーツがでるとその種をもって帰ってきた。あたしはそれをドライヤーで乾かした。そのまま埋めたら土に溶けてしまうような気がした。
あたしと弟は家
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