絶景/吉岡ペペロ
 
のようだった。
あたしはこの家で長女と長男と次男と四人で暮らしている。父が死んだあとも引っ越しもせずにここに暮らしている。いつか帰ってくるかも知れない母への復讐だ。

弟とはもう一緒には暮らしていない。たまに逢いに行くのはあたしのほうだ。
長男と次男は弟とのあいだにできた子だ。長女は高校の先生との子だ。
高3の夏休み頃から、あたしは先生と付き合った。あの頃のあたしは性同一障害の女の子がセーラー服を着て学校に行っているような居心地のわるさを感じながら学校に通っていた。
だれが敵でだれが味方かもわからなかった。みんなあたしよりうまく生きている。真ん中で生きている。あたしは隅のほうで生きてい
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