廃人の唄/葉leaf
 



ただ電車が通り過ぎていくのを
意味もなく微笑んで見送った

誰に語りかける言葉もなかった
本当の言葉など要らず
偽物の言葉で構わないのに
偽物の言葉すら持ち合わせていない
もはや本物と偽物の区別はなく
ただ失語するだけ

私はただただ廃人のようで
だが私は廃人のような無私な人間になりたかったのだった

廃人の前にはいかなる倫理も成立しない
だが廃人の内部は特殊な倫理で満ちている
廃人はどんなに悲惨でも本人に悲しみはない

廃人はどんな侮辱にも怒らない
何もかも透過する透明な人間である
廃人は「廃人」以外いかなる規定も無効にする

廃人は今日が終
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