【驟雨】志なかばでお亡くなりになられた松山椋さんへ/そらの珊瑚
 
まさに適当でかっこよかった。
 現代では失われた赤線について、話し合う中学生は私たちくらいのものだったかもしれない。わたしたちはよく、秘密を共有しあう同志のように、笑い合った。
 少数派のわたしたちは、それでも本はこの先もなくならないだろうと信じていたし、学校の辺境の図書室がなくならないとも信じていた。

 いつだったか、彼が話してくれたことがある。将来、生き延びて、自分が小説を書くことがあったら、その主人公の名前を、さりゅう、としてもいいか、と。とても控えめでいて、けれど芯のある声色だった。
 生き延びるだろう彼は、そしていつかきっと書くだろう。そして未来で私はもうひとりの私に出会うだ
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