【驟雨】志なかばでお亡くなりになられた松山椋さんへ/そらの珊瑚
 
た。いっそのこと幼稚園の砂場に埋もれてしまいたいとさえ思った。
 そういういきさつもあり、自分のその名前も、もしかしたらこの世界そのものが嫌いだった。

「へえ、かっこいいね」
 まるでゲームのようなおうむ返しの会話は、そこまでだった。
「どこが?」
「だって、さりゅう、だなんて、かっこいいっていうしか、いいようがないよ。フランス語でサリューっていう単語もあるしね」
 初耳だった。自分の名前が行ったこともない外国の言葉であったことが、目の覚めるような驚きだった。
「どんな意味?」
「確か、さよなら、とか、こんにちは、とか、いわゆる軽いあいさつ、だったかな」
「さよなら、と、こん
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