月の民/dopp
織られた日よけ布が、四本の柱で作られた即席の、屋根だけのテントを作っていて、それと焚火が、アインから見える大地を、ぽつ、ぽつと埋めていました。
アインの左手側から、がさがさと草を踏む音が聞こえました。ヨナとリクトが、丘を登ってきたのでした。「何やってるの!」ヨナは言いました。丘に大きく響く声でした。ヨナはいつも怒ったように話す子でした。リクトは目の細い子で、黙っていました。
「月を見てたんだ」とアインは返しました。本当は、ほとんど月は見ていませんでした。ぼんやりと、月を目の端に捉えながら、見るような見ないような、月のことを考えるような考えないような、そんな風に月を見ていました。
「ご飯
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