月の民/dopp
 
トになったんですか、と聞きました。センセイは、歩いていたら、後ろにいたから、カジルトの実をやってみたら、付いてくるようになった、と言いました。ありそうなことだな、とアインは思いました。別にカジルトは今でも特別好きなわけでもないけど、あの赤くて小さい実をくにくにと噛むのは魅力的でした。結局それがどこで、いつのことだったのかはセンセイも覚えていませんでした。ただ、アインの背が今の半分くらいだったらしいので、うんと小さな時ではあるんだろうなと思います。
月がこうこうと、光っていました。周りはどんどん暗くなってきていました。丘から少し離れたところには、ぽつぽつと焚火が見えました。いろんな色の毛糸で織ら
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