月の民/dopp
 
民にとっては最も孤独で、最も狂おしく、胸の奥が、押されているのにせり出してくるような、人生そのものなのでした。それが無いというのは、あるいはアインにとって耐えられないものであったのかもしれません。少なくとも、月の民は、自分は他のどの人々と交流を長く続けられなかった、あるいは、続けられないだろうという感覚を持っているのは事実です。
ああ、とアインは思いました。何を考えているんだろう僕は。いったいこれが何の役に立つっていうんだ? だいたい、要するに僕は今寂しいという気持ちを、他にも見えるように表現している生き方をしているだけなんだ、とアインは思いました。それを見せられた他人は何を思えばいい? 救い
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