月の民/dopp
民…と呼び、それぞれが他のどの民とも会ったと認識することのできないそれぞれの放浪を続けていました。月の民だけが特権的孤独と宿命、社会的差別と甘い劣等感を感じる集団ではなかったということであり、他の民の在り方と比べて特に選ばれた民であるというわけでも無かったという事ですが、だからこそ彼らが選ばれている、という証左でもありました。なぜなら彼らは、他のどの民でもなく、月の民だったからです。彼らは逃れようもなく月の民であり、他の民の在り方に混じる事はできませんでした。なんといっても、アインには他の民の心が読めなかったのです。月の民同士なら、読心はあると言っても過言ではありませんでした。その感覚が、月の民に
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