月の民/dopp
 
手でヨナの肩を叩きました。ヨナは切れ切れに、弱々しく叫び終えました。
センセイは立ち上がると、テント屋根の下に向かい、横になりました。リクトはヨナを支えるように立ち上がらせると、テント屋根に連れて行きました。アインは片膝を抱えて弱まってゆく火を見つめていました。

月の民は、交易の民でもありました。この大地には街が散らばっていましたが、どの街の間にも道はありませんでした。月を追う内に、街の姿が目に映ると、最初にそれを見つけたセンセイとそのセイトたちが、ふっと群を抜けて街へ向かうのでした。他はそのまま、月を追いました。群れを抜けた一団は、街と大地の境目の、建物がまばらであやふやなところから
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