月の民/dopp
 
言うと、センセイは乳粥を杓ですくい、椀に入れて木のスプーンと一緒にアインに差し出しました。アインはそれを受け取ると、焚火を挟んでセンセイの向かいに座りました。ヨナとリクトも、粥をもらうとアインの両隣に座りました。
「食べなさい」とセンセイは言いました。いただきます、と三人は食べ始めました。アインはひとくち、ふたくち運ぶと、粥を見つめて固まりました。ヨナはそれに気づくと、不安なような、怒ったような声で叫びました。「アイン!」センセイはじっと見ていました。
アインはセンセイに尋ねました。「あの月はどうして沈まないんですか?」ヨナはびくりと震え、きっと地面を睨みつけました。リクトはゆっくりと、交
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