月の民/dopp
!」ヨナは傷ついたように叫びました。ヨナはちゃんと月の民だなあ、とアインは思いました。アインが月を疑う事を、ヨナは嫌う子でした。リクトはどっちの味方をするようにも取れそうに、あいまいに笑う子でした。アインは二人が好きでした。それで、三人連れ立って、丘を降りることにしました。
自分たちのテント屋根に戻ると、センセイが焚火の側で灰色の倒木のかけらに腰掛けていました。焚火には粘土の鍋がくべられ、中では毛馬の乳粥が煮立っていました。センセイはアインの目を真っ直ぐに、鳶色の目を見張るようにして見ると、おかえりと言いました。センセイの目も、だんだん見えなくなっているのでした。アインが戻りました、と言う
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