月の民/dopp
 
。街に行けばアインも砂と食料を替えることができましたが、街に住めるかというと分かりませんでした。砂を持ってくる月の民は所詮、お客さんに過ぎないのでした。街とはなんだろう、とアインは思います。街の限界ってなんだろう、とアインは思うのです。街が食料を与えてくれる場所だとするのなら、何故街の中に畑や牧場がないんだろう、畑や牧場は街の中にないのに、どうして食料を作り、売る人は街の住人なんだろう、と考えるのです。そして、食料を売る人は同時に、星の砂を売る人でもあるはずでした。と、するならば、星の砂を持ち込んでくる自分達も街の仲間なのではないのか、と思うのです。しかしそうではありませんでした。いつ訪れても街は
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