月の民/dopp
の放つ灯りに照らされると、霧のように空気に溶け始め、消えてしまうのでした。街の人たちがなんでこんなものを欲しがるのか、アインには分かりかねることでした。食べ物の方がずっといいのにと思いましたし、だいたい街みたいな明るいところから離れればいくらでも手に入るものなのに、自分で取りに行かないなんて不思議だとも思いました。それでももしかしたら、取りに来ているのかもしれないけど、月の民にまぎれてしまうから気づかないのかもとも思いました。それだったら仕方ないなとアインは思います。なにせ誰が月の民で、誰がそうでないのかを見分けることはできませんでしたし、誰が増えても誰が減っても、全く気づかれなかったからです。街
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