笑いの刑/ただのみきや
 

祈る翼の肥沃な領地へ
たわわに実れ
梨 桃 葡萄 柿 林檎
垂直に落下する
紺碧の揺りかご かもめが証言した
何処かに船に乗せた食べ物はありませんか
爪が伸びすぎて
次から次へと殺します
虹色のにわか雨が
丘で生まれた金魚には理解できません


拘束されている 指の細い暮らし
逃げ出せない表情の
爆破された 蝶は 静止する
時が見つめ合う
鏡のような
あなたの声
シャツより内側から
鍵の掛らない部屋に隠された
絡めあったままの手首から
まだ名づけられない蒼白の
花が 乱れだす
幼い動物のように震えながら


解かれた音塊が幾つも転がった

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