笑いの刑/ただのみきや
った
その時 石が叫んだ
火だるまの子供たちが
口から沢山の黒いネジを吐き出して
そのまま
ねずみ花火になって
焦げて
破裂した
冷たい水を
心臓の深い切れ目に注いで
石鹸を捜して白く泡立てて
皆既日食の顏たち
白い紙の奥底で世界を黒く浸食する違和が
絶対零度で眼差している
空の大きすぎる浴衣
四肢の言葉の歯がゆい齟齬が
縫い目を解いて
そよぐ 厚みの 切れ端に
鋏よ鋏よ
愛と死の鉄と熱の
鋏よ非情よ非対称よ
鋏よ鋏よ鋏よ鋏よ鋏よ鋏よ鋏よ鋏よ鋏よ鋏よ鋏よ
訪れていない
始めから
正体のない
生まれていない
世界のために
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