笑いの刑/ただのみきや
 
沈黙
背中にピンで止められた
誰ニモ似ナイ似顔絵ガ
見つめた時代の奥行から
汽笛が 聞こえ
わたしたちは錆びていた
たぶん
アナログレコードの
少し波打つ過去
丸椅子から
落ちて往く
影ばかり美しい午後だ


腐った床を踏み抜いた
空洞を知る
不在の味わい
噛み締めた頬を裂き 駆け上がる


ヤシの実のように漂着した
不発弾に大きな蜥蜴が寄り添った
目を瞑って読み耽る
光の散弾で
すでに傷だらけだった
笑いの刑は続いて往く
亀を裏返す遊びが
街中を進軍し
誰もがリュウマチのように踊った
警官の拳銃が嘯いた
誰もが寡黙な祭りの構成要素だった
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