左右非対称/こうだたけみ
解ってはくれない。姉さんが、「おなかがすいたのならいえにはいっててもいいのよ、とだなにきょうのぶんのおいもがはいっているんだから」と言ってあたしを追いやるのだ。
手が、小母さんやお姉さんやお婆さんの手が、触手のようにひらひらしている。真っ黒な掌。あたしは知っているのだ。あの黒いのは、あの子が蹲っているのだ。そんなに振られて落ちないように必死だろうに、あの子は、同じ顔と声とを持って、無数の掌にしがみつく。
ここにいるのは女の人ばかりだった。それはたぶん、安心するからだろう。同じ種のものはとかく馴れ合いやすい。似たようなものが集まって一個の集団を形成する。あたしは、その馴れ合いが厭だ。それはそ
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