左右非対称/こうだたけみ
 
はそれは、吐き気がするほどに。けれどもあたしはその中にいた。その中にいて、あたしは何だろうか。
 あたしを形容する言葉は、何を置いてもまず子供だった。十四のあたしは、成人という大きな壁の前でまだ子供だった。女である前に子供。ここにいるすべての人があたしをそう見ている以上に、あたしは自分自身を子供と思い、手放しで甘やかされ、手放しで甘やかしていた。そんなことは知っている、誰もが知っている。
 ジタバタする右手を持て余しながら、結局あたしは姉さんに言われたとおりに家へ戻った。二階の部屋の窓から集団を眺め下ろす。ちょうど窓の真下に、集団の掌が見えた。この部屋はあたしの一人部屋だ。そんなに広くはないが
[次のページ]
戻る   Point(1)