鈍重な流動、経年的深海/ホロウ・シカエルボク
かけた洋服みたいなものだ、しっかりとそこにあるように見えてもなにかちょっとしたものが引っかかるだけでたちまち滑り落ちて床で広がってしまう―まるでにおいの無い死体のように―ここは水面なのか?あるものにとってはおれはとても上手く泳いでいるみたいに見えるだろうし、またあるものにとっては溺れそうになって必死にもがいているみたいに見えるだろう…おれは見物人を映す鏡だ、おれのスタンスはまさにそういうものだ、おれのあり方に愚かさを見ているやつはきっと、自分の愚かさを見ているのさ、だって、俺の見ている景色が誰に判る?おれの感じているものが誰に?おれの思考が誰によって解読されるというのだ…?そんなこと絶対に出来るわ
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