鈍重な流動、経年的深海/ホロウ・シカエルボク
るわけがない、おれは最も原始的なやりかたでそういう事柄を示しているのさ…なあ、ここは水面なのか?呼吸をしているような気がする、確かにきちんと呼吸は成り立っている気がする、だけど、なにかほんの少し、騙されているような気はしないか?これが本当に心安らかに寛げる場所だなんて、果たして思えるのか…?現実なんて壁にかけた洋服のようなものだって、おれはさっき言ったばかりじゃないか…?おれは壁の一点を見つめて考え込む、おれは果たしてこれまでに水面に顔を出したことがあるのだろうか、本当の意味で心安らげる空間を手にしたことがあるだろうか―そう考えると自分が深海にいるような気がした、なるほど、道理でなにもかも見え辛いわけだ……。
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