狂咲/竹森
開く傷口。あなたが興奮している証拠。ボルヴィックをあとどれだけ放置すればあなたの唾液に近づくのかな。腐ったコオロギがケタケタと骨格だけで笑うので、東京は今日も三日月です。ドトールで頼んだコーヒーは月光を浴びて腐った林檎ジュースに変わった。月光は怒った人の顔をトマトに変えて、見境を失くした巨人の金槌がそれを砕いていく。食べられたい人は、緑色の家の木椅子に座って待っていて。そんな声で満ちているから、ひとつだって届くはずがない。紙幣を嘔吐する。臭いものは嫌いさ。それでいて腐敗は好きなんだから。私はバスに乗って。ゴミ捨て場に廃棄されたバスに乗って。見上げる、夜空、ではなく、天井、のはずが、夜空、いや、天井
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